2010年3月16日火曜日

ロスチャージ訴訟に見る加盟店とフランチャイズ本部の姿。

○1個70円の原価のリンゴを100円で販売する場合を例に見てみましょう。
→ということは、粗利益は30円(粗利率30%)の商売ということになります。

★10個仕入れて7個が売れ、3個が廃棄となった場合。。。。

 ●普通に考えたら。。。。。
①仕入原価は10個で700円(原価70円×10個仕入)です。・・・・・・・・・>仕入原価700円
②売上金は7個を100円で売ったので700円になりますね。・・・・・・・・・・>売上金 700円
③廃棄は3個の廃棄ですから1個の原価が70円なので・・・・・・・・・・・・・・>廃棄商品原価210円

④粗利益は!→ 売上金700円-仕入原価700円=粗利益0

7個売って損益分岐点到達といったところでしょうか。

●コンビニ(セブン-イレブン)の場合。。。。。
①同上で 仕入原価     700円。
②同上で   売上金     700円。
③同上で   廃棄商品原価210円。

④粗利益は→ ここが違ってきます。
売上金700円-(仕入原価700円-廃棄原価210円)=粗利益210円

おっと!これがコンビニ会計の特殊性?と言われる側面です。普通に考えたら売れなかった商品の原価210円を粗利へ転換できる錬金仕組みがあるのです

何が違うのかと言うと、仕入原価から廃棄になった商品の廃棄原価を除いているのです。

考え方としては、廃棄になった商品は現場である加盟店の責任ですから、最初から無かったものと捉えているのだろうと考えます。 従って仕入原価から除く・・・・。
結果、普通に考えたらのケースに比べ廃棄になった商品原価分だけ利益が水増しされたになっていますね。
実際には存在しない利益が計上されるわけで、架空利益計上?と批判している加盟店オーナーもいます。

ここで確認しておきたいことがあります。
フランチャイズ契約の根本とも言える考え方ですが、フランチャイズ本部の指導の下で各加盟店は売上を上げるわけです。そして得られた粗利益をフランチャイズ本部と加盟店で分配するという大原則があります。これを『粗利分配方式』と言います。
セブンイレブンの場合は『荒利分配方式』と書きます。粗利→荒利と表記しているんですね。
結果、本部側の取り分の粗利を加盟店はロイヤリティーとして支払っているのです。


再び話を戻します。
フランチャイズの大原則を成就させる為に架空利益計上?された粗利益210円をセブン本部と加盟店で分配することになります。
それぞれが半分ずつ分配すると仮定した場合(実際はそう単純ではない)・・・・・
210円×50%=105円がセブン本部の懐へ残りの105円は加盟店の懐へ入ることになります。
しかし、このままでは会計上問題が発生します。廃棄になった商品は実際には仕入が発生し仕入原価は支払われているのです。
机上計算で仕入原価から除いても実際の現金は動いているのですから、辻妻が合わなくなってしまいます。 

ここでもう1つの原則が重要になってきます。先ほども申し上げたとおり『廃棄になった商品の原価負担は加盟店が負う。』というものです。これにより、前述した方法で架空利益計上?した後に廃棄原価の210円を加盟店の費用勘定へ計上し負担させることになります。これで計算は合うわけです。辻妻も合うわけです。
セブン本部側にしてみれば、『廃棄商品原価を加盟店に負担してもらう為に必要な仕組み』なんでしょう。


結果、普通に考えたらの場合では、加盟店は損益分岐点到達なのですが・・・・・
コンビニ(セブン-イレブン)の場合は、廃棄原価負担210円-架空利益計上?105円で差し引き105円の赤字となるわけです。


この105円の赤字分は、架空利益計上?した為にセブン本部へ支払わざるを得なくなったロイヤリティーであり、本来は支払う必要がないものだ!と主張し且つ加盟店が負担する廃棄商品原価から算出されていることになり、フランチャイズ契約で規定されている粗利益からの徴収ではない!不当利得である。といった考えが争いの根底にあるようです。
これがいわゆる『ロスチャージ』(廃棄チャージ)ということで裁判にまで発展した問題なのです。


しかし、裁判ではあくまでフランチャイズ契約を締結する際の説明があったか無いかが争点となり、こうした争いの根底については何らジャッジされていません。故にこの問題は加盟店とセブン本部との間に横たわる火薬庫として多様な形で今後とも存在し続けるのだろうと思います。

私の説明でどこまでご理解頂けたか自信がありませんが、因みにこの廃棄商品原価の負担額ですが、一店舗あたり年平均額が500万に上ると言われています。


※ロイヤリティー(ロイヤルティー)=チャージ
  →加盟店がフランチャイズ本部へ支払う「みかじめ料」と理解して頂いてよろしいと思います。

またまたずい分と長くなってしまいましたので、これについての私個人の考えや、人に伝えたいことを次回に語りたいと思います。


 
 


 

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